●保育現場で30年! 保育以外で大事にしてきた事!(2009年12月)
 私は保育現場で、30年以上働いていました。

 その園が好きで好きで、園が発展するためならどんなことでもできると思っていました。そして、実際に努力もしてきました(と思っています)。
 子供のじっと見つめるあの目・嬉々とした声、それにすっかり取りつかれてあっという間の30年でした。

 現役時代、保育について、大切にしていたことはたくさんありますが、それ以外に大切にしてきたこと、それは「感情をコントロールする」でした。

 私の通勤時間は8分。家の庭で車のエンジンをかけ、農道を走り、園の駐車場に車をいれ、職員室の自分の席に着く、ここまでなんと8分! その8分が私にはとても大事な8分でした。
 前の晩、息子が熱を出し、ほとんど寝ていない状態の朝は、体も重く、気分も重く……。夫婦喧嘩したときは、朝になっても怒りはおさまらず……。心配事があるときは、そのことが頭から離れず……。
 と、いつも平常心で出勤できるはずもなく、その日その日で気分も感情も変わるなかで、私にとっては
「私」から「公」に変わるための大事な8分でした。

 「私」の部分を引きずって車に乗り、少しずつ「公」の自分に変えていく…… そして、職員室に入るときには何事もなかったように「おはようございます!!」と言えるように。
 では、具体的な方法はというと、それは結局誰でもできるようなことでした。例えば、わざと明るい色の洋服をきたこともありました、車の中で歌を歌ったこともありました、大好きな子供たちの笑顔を思い浮かべたこともありました、空を眺めたり、遠くの山々に目を向けたこともありました、深呼吸をしたこともありました。
 これらのことを、一番適している言葉で表現するとしたら「訓練」と言えるのかもしれません。マイナスの感情をプラスに変えていく訓練、園に着くまでに気持ちを切り替える訓練、これをしたように思います。

 それもみな「プロでありたい!」と思うところから身についたことかもしれません。
 やはり、職場に個人的なことは持ち込まない、これこそプロのなすべき大切な一つの鉄則だと思っています。

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FUTO
 子供のジッーと見つめるあの目、あの声に魅了され、幼児教育にのめりこみ、笑いあり、涙あり、失敗あり…たくさんの喜びと感動の保育者生活35年。
 「私の師は子供です」と言い切れるほど、子供から、毎日たくさんのことを教えてもらいました。
 この経験を今、現役で頑張っていらっしゃる保育者の皆さんに少しでもお伝えすることができたら嬉しいなと思っています。
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