●こんな素晴らしい職業は他にはありません! 断言できます!(2008年9月)
 私の住む群馬県では毎年10月1日に、私立幼稚園の新規職員採用試験が解禁になります。
 ですから退職を考えている保育者は、園が良い教員を採用できるようにと、9月中に意思表示しなければなりません。今年もこの時期がやってきたのだな……と、カレンダーを見て思いました。

 私は幼稚園の教師を30年以上してきました。その間に、大きな失敗もたくさんしましたし、やめたいと思ったことも数知れずありました。
 今、思い出してもぞっとするのは、受け持ちの子供が大きな怪我をしてしまったことです。
 春先の気持ちのよい季節になり、早番の先生が今まで閉めていた窓を開けておいてくれました。窓は開いているのになぜかカーテンは閉まっていたのです。今日も閉まっているだろうと思いカーテンに寄りかかった子はそのまま転落。超肥満なその子は頭を打ち、落ちた瞬間から嘔吐。これは普通ではないと判断、すぐ園医へ。即、入院。私は心配で一睡もできませんでした。辺りが明るくなってきたころ病院に飛んでいき、看護婦さんに尋ねたことは「生きていますか?」でした。そのときの光景は今でも鮮明に覚えています。その子は3週間後には無事に園に来て、変わらず元気に遊んでいました。
 そして、その他数々の失敗も許していただき、子供の前に立たせていただける喜び、未熟な私に大事な子供を託して下さる保護者への感謝、その気持ちにこたえなくては、という思いが根底にあり、続けてこられたように思います。

 退職した今言えることは、こんな素晴らしい職業は他にはありません! 世界一です! 断言できます!
 大きな声でおなかを抱えて笑い、時には怒り、歌い、そして、毎日いっぱい歩き、走り……(退職後は、せいぜい歩いても一日3000歩から4000歩くらいです)。
 裏表のない、損得のない子供の世界に身をおき、共に喜び、はち切れんばかりの元気な子供と過ごせる幸せ。毎日に変化があり、充実感あり、達成感あり、そして、人間として・保育者として成長させてもらえる素晴らしい職業です!
 続けてきたことに誇りをもっています。新しく採用される方々にも是非そんな気持ちを味わって欲しいと思います。もちろんみなさんにも!

余談ですが退職した今、私は保育者として集大成のようなお仕事をさせていただいています。このご縁は、長年頑張ってきたことへのご褒美だと思っています。

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FUTO
 子供のジッーと見つめるあの目、あの声に魅了され、幼児教育にのめりこみ、笑いあり、涙あり、失敗あり…たくさんの喜びと感動の保育者生活35年。
 「私の師は子供です」と言い切れるほど、子供から、毎日たくさんのことを教えてもらいました。
 この経験を今、現役で頑張っていらっしゃる保育者の皆さんに少しでもお伝えすることができたら嬉しいなと思っています。
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