2019年度 園だより



3月2日 園長 齊藤昌子

 「習うより慣れろ」という言葉がありますが、幼稚園は正にその通りを実際に行っています。毎日毎日が反復練習でして、日常のあらゆることを繰り返して行っています。
 園児の皆さんも担任の先生の掛け声に応じて、さっさと身体を動かすことが出来る様になっています。
 目下、学年の最後の月を過ごしている訳ですが、例えば先生が「お帰りの仕度をしましょう!」と言えば、全員もれなく「通園カバン」を背負い、帽子を被り、上履きを袋に入れることができます。3 歳の園児さんがこの作業を完成するのにも一年は掛かりました。

 はじめは 「カバンを持って来ましょう」
   次に 「帽子を被って来ましょう」
 そして又 「上履きを上履き入れに入れていらっしゃい」

と丁寧に小分けに分解してやってきたものでした。
 今では何だって理解できていますので結構先生方の言葉数は少なくなっています。そのことがどんなに嬉しいか毎日実感として園児さんたちを見守っている次第です。
 中にはもう来年度の進級した際には「やるぞ!」とばかりに訳知り顔の人がいて、又これが可愛いものなのです。
 毎日楽しませてくれてありがとう!という気持ちで一杯になります。
 新学期に向けて再び、さあ!出発!ですね。


2月3日 園長 齊藤昌子

 お客様が幼稚園の玄関を訪れると、決まってまず年少組の一人が気付いて「おはようございます」「こんにちは」と声を上げます。
 すると、一人ならず大勢が何度も「おはようございます」「こんにちは」を迫るのでお客様はタジタジになることも。その様子にようやく気付いた担任が後から追い駆けて「おはようございます」「こんにちは」を園児さんがお客様より先にできたことを認め、褒めて喜びを分かち合います。
 本園を訪ねられたお客様方は、「子どもたちからご挨拶を受けた」と驚きを持ってお褒め下さるのですが、そんな時実は私たちも何よりも嬉しく思っています。

 習慣は「前に言ったのに」では通用しない世界です。
毎日毎日繰り返して、習慣となるまで実践しなくては身につきません。
それらを根気よく指導し、身について自然に活用出来た時、初めて効果を発揮するものですから。
 それにまた、一度身についたら簡単に剥がれ落ちることなく立派な大人になっても持っていてくれることを信じています。
 良い習慣は人生の宝ですね。


1月8日 副園長 石和佳代

 先のおゆうぎ会では、天候にも恵まれ朝早くからご家族総出で応援に駆けつけてくださる姿が沢山見られ、賑やかに開幕いたしました。
 最近はカメラ、スマホの普及でどの方も例外なくカメラを構えていらっしゃるので、園児さんたちのせっかくの演技に対して拍手が少ない (できない) 等という報道もあり、実はちょっと気にしていたのですが、そんなこともなく皆さんご協力くださり、園児さんたちのやる気を大いに後押ししてくださいました。
 年少組は音楽劇「ねずみの嫁入り」から始まり可愛さたっぷりの演技が繰り広げられました。みんなどの役も出来るようになっていますので、自信にあふれ堂々と演じられましたね。
 年中組は、和洋折衷の舞踊の可愛らしさや色々なジャンルの名曲の中から子供向けのフォークダンスやヒーローダンスなど少人数に分けて一人ひとりが自信をもって積極的に表現を楽しめていました。
 そしてもうすぐ 1 年生の自覚の芽生えてきた年長さんは、オペレッタ「美女と野獣」や歌「ぼくのたからもの」を通して、集団の中で協調性や歌詞の意味も理解して思考力や人との関わり方も上手になってきました。
 合奏指導は苦労するところですが、子どものシンバル、大太鼓、小太鼓、カスタネットがリズムよく気持ちを一つに合わせ、メロディオンや木琴の主旋律に合わせ、タンバリンや鈴も元気に盛り上げてくれました。
 担任の常日頃のご指導とサポートしてくれる先生方の連携プレイの賜物です。壇上からお母さんを探している園児さんたちの健気な笑顔でまた一歩大きく羽ばたいた参観日になったことは、牟礼幼稚園の大切な宝物ですね。


12月2日 園長 齊藤昌子

 保護者の皆さま、弛まぬ毎日の子育てご苦労様でございます。
大人の私たちは、日に日に力を付けて自立してゆくお子さんたちをみて感動したり、こちらも元気をもらったりしています。
 この時季の園児さんたちは、なんでも自分でできるようになった!と喜んで発表してくれることが多いのです。園服のボタン掛けも帽子だって一人で被れると一つずつできることが増えているのです。
 しかし、最近一つ気付くことがありますのでお伝えします。

 例えば毎朝、自転車で通園して来られる人がいます。園に着いた時、お子さんを降ろして、その後、園児さんだけ園舎の入口に向かっていくのです。その後から自転車のブレーキや安全確認の手続きを終えたお母さまが「通園カバン」や「水筒」を持って追いかけるお姿です。この様に毎日見られる何気ない風景でしたが、思いがけずそこに大きな落とし穴が潜んでいることに気付きました。
 通園の毎朝にこの繰り返しをしていますと、やがて子ども達から

「お母さんが渡してくれなかったから水筒を忘れたんだ」
「お母さんが忘れたから……」

等の言葉が頻繁に出てきて来るようになったのです。たった数分の出来事でも、繰り返し繰り返しは大きいものです。「ほんの一寸」「一瞬だけよ」の短い時間でも幼児は見逃さず繰り返し、習慣にしてしまうのです。自転車から園舎までは荷物はお母さんが持ってくるもの……となったら大変です。
 どうぞ自転車から園舎までの距離でも手を抜かずに本人に持たせてあげて下さい。一人でできることが沢山増えている今こそなるべく例外を作らないことが大切と考えています。


11月1日 園長 齊藤昌子

 テレビの気象予報士が「関東地区に台風が接近するのは夕方から夜にかけてです」と言い続けてくれたので、24日(木) は安心して秋の遠足に出かけることになりました。恒例の井の頭自然文化園ですが、充分楽しめた半日を過ごしました。
 10 時から入場して集合写真等を撮った後、私たちは早速芝生広場へと向かいます。各クラスで円陣を組み敷物を敷き詰めれば、準備万端整います。あとは担任の先生の音頭で「いただきます」のご挨拶を待つばかりです。どのお顔もにこにこ顔に輝いていますね。お母様のお心づくしのお弁当が楽しみなんです。
 そして今日は特別にお弁当の外にデザートとお菓子が入っているのです。担任の先生とお約束もありますから、うめ組さんもお弁当を残すことなくきれいに完食いたします。
 そんな中でさっさとお弁当を済ませたまつ組の一団がお先にと立ち上がって、動物ランドの方へ出発しました。
 リス園に始まり各動物たちと面会を楽しむためにたっぷりと時間を掛けてまわるためです。
 さくら組も広場についた後、一人一人が新幹線の切符を握りしめて搭乗いたしました。「いってらっしゃーい」とお見送りの声も賑やかに新幹線は八の字まわりに三周もしてくれます。ゆっくり新幹線を楽しんだ後にお弁当を広げていました。
 こうして年代に合った時間の使い方を工夫してあっという間に時間が過ぎて行きました。お弁当をこなすだけでも大仕事だったうめ組さんの中にはもう既に眠気に襲われていた人もいましたね。
 午前中いっぱい使って大満足でお母様の元へ帰って行きました。


10月2日 園長 齊藤昌子 

 今年の 9 月は大変な天候不順でしたので、例年のように全体で練習をすることが少なかった印象があります。
 そんな中で迎えた体育参観日でしたがお蔭様で高山小学校の広々とした体育館では、園児さんたちの伸び伸びした演技をみせてもらうことができました。
 牟礼幼稚園では、毎年 6 月の終わりから、ハダシ保育をして足の裏を鍛えておりますので、みんな跣 (はだし) が大好きなんです。
 競技一つ一つも大切ですが、幼児にとって跣の感触は足の裏の発達にとって重要な意味を持つと言われていますので、幼稚園のホールの感触と磨き上げられた体育館の床の感触とを体験できて幸せだったと思います。
 そして、お父様お母様はじめ、お祖父様お祖母様や、ご家族の皆様に見ていただいて、大満足です。
 更に特筆すべきは、ご家族の方々の大活躍ぶりでした。色々な競技にご参加下さり、障害物競争では、「昔取った杵柄 (きねづか)」ぶりも沢山みせていただき、ありがとうございました。一同大爆笑の活躍場面も多くて楽しい一日になりました。
 心配された雨も影響なく、全てが予定通りに進み本当に感謝の外ありませんでした。この後、いよいよ 2 学期も中盤に向かいます。


 

9月2日 園長 齊藤昌子

 暑かった令和最初の夏休みと夏期保育が終わって、いよいよ 2 学期が始まりますね。気持ちを大らかに豊かな心で園生活を送りたいものです。
 牟礼幼稚園で最も力を入れていることは、何でも繰り返し繰り返しやってみることです。毎日ちょっとずつですが、何回もやっています。
 そのために園児さんたちは「昨日よりも今日」「今日よりも明日」と少しずつ進歩していくのが分かります。そして大切なことは誰よりも本人が最もその気になって、ちょっとずつでもやってみようとしています。

 朝起きたらお父さんお母さんに「おはようございます」
 ご飯を食べる前「いただきます」
 出かける時に「行ってまいります」
 帰ったら「ただいま」
 寝る前には「おやすみなさい」

 友達に対しても同じようにこんな挨拶ができると素敵ですね。
69 年前に牟礼幼稚園が創立した動機もこの一点でした。
「子ども達を健全に育てたい」と願う親心です。

 昭和、平成を通して一貫して持ち続けたこの願いを、令和の年も変わらぬ心を以て、お子様たちの成長を見守る日々を続けたいと思っています。


7月1日 園長 齊藤昌子

 見て見てと 児らの出す手に 蝸牛

 上の俳句は、故園主 原 篤子 先生の遺作です。
百歳を超えても尚、幼稚園が大好きで車椅子を駆使して来園し、子ども達と遊ぶ姿が今も思い出されます。

 毎週水曜日には昔話の数々を淀みなくお話してくださいました。

「どうやって覚えていらっしゃるのですか?」

と職員の一人が訪ねました。すると、

「前の日に必ず一回、御本を読んで確かめます。例え良く知っている『かちかち山』でも最近はタヌキとウサギがどちらが悪者になっているか変わってきているのでね」
「そういえば昔は、タヌキは泥船で海に沈んでしまうだけでしたが、最近は『ゴメンナサイ』『もうしません』と謝ってめでたしめでたしになるんですね」

と笑い話になりました。

 「牟礼の子どもたちに正しい躾を付けてあげたい」という園主先生の思いをこれからも、ずーっと続けていきたいと思います。


6月3日 副園長 石和佳代

 4 月に入園された新入園児さんにとって最大のイベントは春の遠足です。そのため、ピアノの曲に合わせて歩く練習を毎日の様にしてきました。お友達の後について歩くという単純なことですが、これがなかなか難しくて漸く一か月経った頃に春の遠足を迎えます。一か月間の成果が発揮される場所なのです。

 今年も例によって年長組のまつ組さんが年少組のうめ組さんの手を繋いでエスコートしました。
 立派に歩けるようになった次の段階では、泣く人が出ないかな? お母様と離れるのが嫌で入場できない人は何人?
 そんな杞憂は全く無用でした。誰一人泣かないのです。
体調不良の連絡は?
 各クラス「いませーん」
大体、開闢以来、全クラスでお休みもなく、泣く人もいないなんて初めてではないでしょうか?
 雲一つない晴天で、心も体も晴れ晴れとオール天気印のまま、入場しました。気温もぐんぐん上がる中、バラ園を通り、林の中の小道を縫って進みます。途中小川がありますが、涼しくてほっとする場所です。夫婦のカップルガモがいることを確かめました。その間も年長さんは、責任を持って年少さんの手をしっかり握ったまま離しませんでした。
 今年は羽切写真屋さんも一緒ですから要所要所で珍しいポーズの写真も多々あるようです。
 帰り道、一人が「楽しかった!また明日も遠足がいいな」と言うと、「明日も遠足がいい!」「遠足がいい!」の大合唱にみんなで思わす大笑いでした。遠足大好き園児さんが次々と誕生した一日でした。


5月7日 副園長 石和佳代

 新緑の輝く季節となりました。

 例年、朝の登園時には親離れ、子離れの儀式ともいうべき、涙のドラマが繰り広げられるものですが、今年度の新入園児さんたちの何と潔いことでしょう。入園式後、二、三日は「ママがいいッ!」と泣いていた人が、一週間後にはそれもなく、それぞれのクラスからはかわいい歌声や笑い声が聞こえてきます。
 朝のお集まりでは、いつの間にか新うめ組さんも元気よく歌えるようになってきました。
 このことは偏にご家庭のご理解とご協力が大きいと感謝しております。保護者の皆様が幼稚園の決め事をお守りくださって、小さなお子さんと牟礼幼稚園へ歩く道のりを大切にされている様子は、必ず「健脚」に繋がります。
 そして玄関を出て、ご近所の方に「おはようございます」の挨拶やコミュニケーションを取ることによって、その地域や社会のお役に立てていることでしょう。
 また、年長年中組に進級したお友達は、年少さんのお手伝いをわくわくして行っています。
保育者は期待に満ちて毎日幼稚園に通ってくださるこの子たちが誰からも愛される子になってもらうために毎日、一層の工夫を凝らしています。

 新しい令和の時代が楽しみですね。


4月5日 園長 齊藤昌子

 桜の開花が例年より少し早かったようですが、春を待つ日本人の心の隅々にまで桜の花が入り込んでいますね。桜といえば日本。やはり好きなんですね。
 江戸時代の先人の知恵が時空を越えて現代人の心を動かしています。
 そして「染井吉野桜」の宿命として、その役を終え新しい病気にも強い苗木の植え替えも進んでいる地区も多数あるときき、素晴らしいことだと感じています。
 4 月は私たち保育の世界でも小さな苗木に例えると同じことが言えますが、園児さんたちに愛情と工夫を注ぎ手厚く育成して、人としての基礎となるべきことをどれだけ身につけさせてあげられるのか、決意を新たにする日でもあります。初めて幼稚園に入園した皆様にはどうぞゆっくりと。
 2 年目、3 年目、4 年目の方々は初めての時と同じように更にゆっくりと幼稚園の行事に乗ってきていただけたらと思います。この繰り返しが、やがて根を張り病気や痛風にも負けない良い習慣と躾が整うことと思います。
 会津藩の子育てに関する教訓に、

 「うそをついてはなりませぬ」
 「弱いものをいじめてはなりませぬ」
 「親のいうことはきかねばなりませぬ」

とありますが、当園ではこの教えを取り入れて園児さんと共に守っています。
 「『親』ってなあに?」と誰かが呟くと、
 「『親』ってお父さんとお母さんのことだよ」と年長さん達による会話が聞こえる季節でもあります。
 保護者の方におかれましては、どうぞご協力お願い申し上げ、今年一年の成果を積み上げて参りたいと願っております。