●はっちゃんまんが斬る『小1プロブレム』(2009年6月)
みなさん! こんにちは! 新年度になり2か月が過ぎ、
ペースもつかめましたか?
梅雨、そして夏へと季節が変わっていきますが、
今月も元気にはりきっていきましょう!!
さてさて、今月はいわゆる「小1プロブレム」についてです。
 この数ヶ月で、2度ほど新聞記事で「小1プロブレム」の記事を目にしました。
 その記事の中で東京都品川区では、1つの大きな取り組みとして、2010年度より公立の幼稚園・保育園全園で入学前の10月頃から、集団生活に慣れるようドッジボールや合奏など集団で力を合わせる体験を盛り込んだり、「トイレには休み時間中に行く」など入学後に必要になるルールも教え、幼稚園などには小学校教員が出向いて教える方法なども想定しており、入学までに簡単な計算やひらがなの読み書きを教えることができないかなども検討していくとありました。
 もう一方の記事では、幼稚園・保育園の交流がもっともっと必要であり、欠かせないと伝えられていました。文部科学省の調べでは、幼児と児童の交流があるのは全体の20.2%の地区。先生と保育者の交流は27.9%の地区。一緒にカリキュラムを編成、検討しているのがわずか5.7%だと伝えています。そして、この内容をもっと充実させる必要があるのではないかと結んでいます。

 そもそも、以前にはなかったことがなぜこんなに長い期間解消できないでいるのでしょうか。
 また、この「小1プロブレム」が、「新社会人プロブレム」に繋がってきているのではないかと感じるのは私だけでしょうか。

 そこで、私なりに「小1プロブレム」を考えてみました。

小1プロブレムの原因と対策

■立ちあがって歩きまわる
 子供たちが興味を持ったときの集中力は素晴らしいものです。大人と違い、一瞬にしてのめり込んでいきます。そんな子供たちが、なぜ歩きまわって先生の話も聞けないという状況になってしまうのでしょう。きっと学ぶことや、学習に対して意欲が湧いてこないのではないかと思います。子供は好きなこと、そして分かることはとにかく集中します。しかし、ひとたび話が分からなくなると、一瞬にして違う事に興味がいき、そちらへと集中していきます。
 以前よりも、情報や知識などに触れるチャンスは数多くあります。テレビやゲームなどは、考えなくても楽しいと感じてしまう時間が過ぎてしまいます。
 受け身ではなく、自分から情報を知りたいという子供の好奇心があれば、立ちあがって歩きまわる事もなくなると思います。教科書の中に何が書いてあるのかな? 楽しみだな〜。早くページを開きたいな〜と思うこと、そしてそれを理解できる状態であるということ。
 では、どうすればいいのか……。それは家庭で考えて下さい(笑)。受け身はダメですよ(笑)。

■40分×4時間座っている
 椅子に長い時間座っているというのは、非常に大変な運動です。え? 運動。そうなのです。
 私は、バランスよく長い時間話を聞くというのは、楽な姿勢ではなく、しっかりと集中して体を維持するという運動だと思っています。
 運動をすること。長い時間維持すること。つまりこれをスポーツと考えると、身につけるためには練習が必要です。これは何もじっとしている時間をたくさん持てという事ではないのです。
 やはり、小脳が8割方でき上がる6歳〜8歳までに、どれだけたくさん歩いたか、走ったか。それによって背筋がぴっとたってきて、話を聞くための姿勢を維持する“運動”ができるのです。そして先ほどのこととリンクして、聞いている内容に興味があり、しかも受け身ではなく積極的に能動的に聞ければ、子供は集中して楽しく座っていられます。
 ただし、ここで1つ問題が。この様ないわゆる習慣というのは、最低でも3年位はかかるという事です。数か月行った程度では、それまでの習慣や家庭での習慣の影響がいつの間にか顔を出してきます。
 つまり3歳位からが大切だということです。
『天才は10歳までにつくられる』(ゴルフ・ダイジェスト社)の著者・横峯吉文先生が、先日「エチカの鏡」(フジテレビ)で紹介されました。私も4年間、横峯先生と一緒にYYプロジェクトをさせて頂き、上記のような事を学びました。そしてそこから得た結論は……。

 子供にとってできることは面白い! ということ!
 運動神経は6歳でほぼ完成する! ということ!
 そして、天才は10歳までにつくられる! ということ!


 詳しくは、横峯先生のご著書をお読みください。

■教育現場は敬意があって初めて成り立つ
 私は先生と子供は、平等であるとは思いますが、同等では絶対にないと思います。当り前の事です、先生と子供。先に生まれて、これからの子供たちに先を示す人。
 その敬意というのを1年生に理屈で教えるのは、非常に難しいです。しかし、これを日々補い積み上げていくのが、挨拶だと思います。
 極端に言うと「先生! おはようございます」「お! みんな! おはよう」
 子供は「おはようございます」先生は「おはよう」、なんで? そう先生だからです。
 これは親と先生も同じです。これがどうも崩れてしまっているのではないかと思います。
 モンスターペアレント……存在したら教育は成り立ちません。しかし、新社会人プロブレムが、モンスターペアレントまでつながっているのではないかと考えると、YOKOMINE式=YYプロジェクトの存在、つまり幼児教育がこの世の中の子供の教育問題〜大人の社会問題までを根底から解決するための、非常に大きな力になることだけは間違いないかもしれません。

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はっちゃんまん
 園と保護者と、園児の味方。
 北海道から沖縄まで全国の幼稚園・保育園を指導している。
1年間に飛行機に乗る回数は120回を超えるほど、日本中を移動。そんな中で「日記」を書いてくれています。
 理不尽なことが大嫌い。普段は「背広モード」か「体操モード」で元気で優しいが、あまりに理不尽なコトがあると「ファイヤーモード」に変身するらしい。
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