●「甘やかし」は非行のはじまり-2(2006年12月)
こんにちは!
最近嫌な事件が相次いでいます。
年末で、気分よく年を越したい所ですが、新年に向けて、
ここはズバッと行きたいと思います。
 先月で紹介した『非行の火種は3歳に始まる』の話、多くの方から「詳しく聞かせて」と声が寄せられたので、今月はもうちょっと踏み込んで話します。

 昭和27年〜62年までの間に相部氏が接した約1万人の非行少年の幼児期の育てられ方では、溺愛(62%)、放任(22%)、普通 (12%)、きびしい(4%)という結果です。 そして「幼児期に溺愛されたことが最も大きな原因である」と記されています。
 さらに、愛情飢餓(溺愛の逆)などで非行に走った子は、その後愛情をかければ案外容易に更正ができ、溺愛されて育ってしまった子供は、どんなことをしてもなかなか更正できないというのです。 また、登校拒否の子供も調べてみると、ほぼ100%が溺愛で育てられていたという結果も出ているようです。

 まさに衝撃の事実である。

 なぜ溺愛が非行の原因となり、なかなか更正ができないのか?

「溺愛する」→「100%わがままになる」→「親が口やかましくなり、注意する」→「徐々に親の言うことを聞かなくなる」→「子供が成長するに従い保護者が暴力をふるう」(遊ばず信頼関係ができていないのに、急に子供を注意をするから反感か敵意しか生まれない)」→「家がおもしろくない」→「非行に走る」

 という図式ができ上がってしまうからだという。そして、そのような子供は「我慢ができない」「耐性がない」「自分をコントロールできない」などの傾向が出てくるようだ。
 ここが更正ができない大きな理由。
 さらに、幼児期に溺愛したのが誰かも調べていて、母親(70%)、祖母(22%)、父母(4%)・祖父母(1%)となっている。
 また、家庭内暴力を起こした約900人の暴力の対象者は、母親(63%)、父親(13%)、物(11%)、同居の親族(9%)、兄弟(3%)となっている。
 つまり、幼児期に甘やかしすぎた母親が、子供が思春期になると殴られるという、なんとも切ない事実がこの結果でわかかる。

 最近、ある地域で幼児を持つ家庭を調べたところ、約7%が子供を溺愛して育てているというデーターもでているようだ。

 これはあくまでも私の予測(経験上感じている)ですが、幼児期に溺愛をして育児をしている家庭が増加傾向にあるように思います。昔と比べると家事が短時間で終わり、余った時間で子供に多く手をかけることができるようになったことと無関係ではないはずです。
 そして、この溺愛は母親の意識的な行動ではなく、無意識的な行動であるというところが、むしろ根の深い問題があると思っています。
 ちょっと前は、便利でもなければ裕福でもなかった。家事にも育児にも手間がかかっていた。私の子供の頃を振り返っても、両親が自営業をしていたこともあるが、両親と一緒にいる時間はとても短く、地域の子供たちや兄弟と時間を過ごしていたものである。もちろん両親はそんなに面倒を見てくれるわけではないので自分の事は自分でしていかなければ毎日が終らなかったという記憶がある。つまり親にとっては溺愛しようにもその時間すらなかったんだと思う。そして、子供たちにとってはそんな環境が自然に非行から身を守ることにつながっていたのではなかと思っています。

 では、どうしたらいいのか? 手もつないではいけないのか? そんなことはありません、ちょっと何かしてやりたくなるのを我慢すればいいだけのことです。例を挙げておきますので参考にしてください。

1)子供にできることは子供にさせてください
 (転んだら自分で起き上がる・手を貸さないなど)

2)子供の要求を無制限に通さない
 (何でも買い与えると必ずわがままになる、というのがが基本的な考え方)

3)更に上の2つは幼児期、3歳から始めるのが最も良い

参考文献:『非行の火種は3歳にはじまる』(PHP研究所/相部和男著)



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はっちゃんまん
 園と保護者と、園児の味方。
 北海道から沖縄まで全国の幼稚園・保育園を指導している。
1年間に飛行機に乗る回数は120回を超えるほど、日本中を移動。そんな中で「日記」を書いてくれています。
 理不尽なことが大嫌い。普段は「背広モード」か「体操モード」で元気で優しいが、あまりに理不尽なコトがあると「ファイヤーモード」に変身するらしい。
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